本研究はマインドフルネス食観トレーニング:Mindfulness Based Eating Awareness Training(MB-EAT)の効果機序に関する本邦初の基礎研究である。MB-EATで用いられるチョコレートエクササイズの音声教示を聞きながら4粒のチョコレートを試食し(3粒は必ず食べることとし、4粒目の摂食は任意とした)、味や香りなどを評定する群(マインドフルイーティング(ME)群:10名)と、特別な指示はなく単純に自分のペースでチョコレートの試食をする群(コントロール群:10名)にグループ分けを行い、そのチョコレートの摂食量ならびに主観的なチョコレートの評定の変化について分析を行った。その結果、MEの先行研究と同様に、我々のME音声教示が摂食量を有意に低下させることが示された。主観的な味の評定の変化と教示の種別の交互作用については、有意差は認められなかったものの、効果量は大きな値が示された。これらのことから本邦においてもMB-EATの音声教示が一定の効果を持つことが示された。今後、実験協力者の数を増やし、統計学的再現性の確認のための実験を行なう予定である。